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感想・コンカリダンスカンパニー立ち上げ プレビュー公演&座談会

息子と二人で行ったので、最後まで聞けなかったのですが
コンカリーニョが立ち上げた新しい企画を見てきました。



全国的に、日々の業務を回していくだけで精いっぱいな劇場も少なくないと思うのですが
こうして新しい企画を主催するエネルギーは素晴らしいと思います。
まして、人気が高いとは言えず環境も複雑なコンテンポラリーダンスに取り組むのですから、これは凄いことです。
「コンテンポラリーダンス」と聞いただけで及び腰になる劇場関係者も、ぶっちゃけかなり多いですからね。



毎回振付家が変わる予定ということで、初回の振付家は指輪ホテルの羊屋白玉さん。
白玉さんは今年のTOBIU CAMPで作品を上演していただいたり、公開リハーサルを見せていただいた札幌国際芸術祭での「市電プロジェクト×指輪ホテル「Rest In Peace, Sapporo~ひかりの街をはしる星屑~」、それと前回コンカリーニョで上演された作品も僕は見ています。



作品については正直、まだピースを作っているところで語る段階ではないと思うのですが
白玉さんは出演者の個性を活かすのが非常に上手いので、面白くなりそうな予感のあるプレビュー公演でした。
キャスティングもとても興味深いと思います。



その後、座談会になったのですが、まずはプロデューサーの斎藤ちずさんから主旨の説明がありました。
「ダンスカンパニーを札幌でも作りたい」
ということでしたが、目標としては札幌はまだまだダンス公演が少ないのでこれを増やしていきたいということでした。
確かにコンテンポラリーダンスの自主公演は少ないですが、これは僕が感じているところだと首都圏以外はみんな同じようなものだと思います。
関西は活躍している人や団体はいますが、それでも東京を凌駕するほどではないと感じています。実際はわかりませんが。



その要因としては、単純に作家がいないということだと思います。
ダンサー=振付家ということでは決してなく、求められるスキルは別物です。
まして舞台芸術の世界であれば、「一般的なダンス=伝承するダンス」と違い「創造するダンス」「世に何かしら問いかける作品」ですので、伝承者ではなくアーティストとしての資質を求められます。
ダンサーそのものはどちらかというと「踊ること、人に見てもらうこと、褒められること」が大好きですから、あえて苦しい作家にならなくても、あえて時代に何かを問わなくても楽しいダンスライフが送れる訳です。
そして作家・アーティストにはコミュ力や社会性など色々求められますが、その中でも「経験」は大きいと思います。
人生経験も含めて。



「ダンスカンパニー」を増やすなら、地道に振付家=作家を増やすしかないと思います。
昭和レディもきっかけは「振付家養成講座」という北海道コンテンポラリーダンス普及委員会の企画ですから、そこがゴールならこういった企画こそ必要なんじゃないかと思っています。
その後は「ダコンペティション」という企画で関あさみさんをバックアップし、見事YOKOHAMA DANCE COLLECTIONに選出されるということもありました。
ただ、そこから先は僕らもやっていない訳で、それは何故かというと色々理由がありますが「挑戦したい人が少ない=ニーズが少ない」というのはあるかもしれません。
まぁ、でも実は新しいアイディアはすでにあります。
実現するのはまだまだ先になりそうですが。
もし、振付家としての勉強をしたい人がいれば、ちょうどJCDNも人材育成を重視していくようなので挑戦してみてください。
まずはこういった企画を行うようです。
http://jcdn.blog52.fc2.com/blog-entry-259.html



一方で白玉さんが言っていた「世界を目指す」というゴールもおおいにアリだと思います。
それであれば現段階のちずさんが考えたシステムでも十分通用すると思います。
ちずさんは少し腰がひけてましたが。
そりゃーそうです、世界に発信するための制作というのは自分の劇場で公演をやらせるだけと、労力だったり覚悟だったりが全然違うわけですから。
ぶっちゃけ大変ですし、その割にリターンは大きくない気がします。
とはいえ、コンカリーニョにもきたマドモアゼルシネマさんなどはそういったやり方で前例がある訳ですから、「ダンスカンパニーを増やす」よりもやりやすくはあると思います。
白玉さんなら世界を目指すのも可能だと本気で思うし、その後の振付家も凄い人を連れてくれば札幌のダンサー達のモチベーションに繋がると思います。
「これに出演できれば何かが変わるかも」という期待は競争を生みますし、目標がないと人間は成長しません。



ただし、おそらく現段階ではプロデューサーのちずさんにはそこまでの覚悟はないのだと思います。
これから腹をくくるのかもしれないし、手を引くかもしれないです。
普通なら大変だからやめるべきだと思いますし、そもそもの主旨を考えればやめた方が良いとすら僕は思っています。
今日の話しに出てきた某振付家の「ダンスカンパニーなんて大変なだけ」というのは「そういう意味」なんだと僕は感じました。
けれども、同時に大変じゃないことには価値はないとも言えます。
ゆるいだけだと届かない領域がありますし、それは今回のプロジェクトに関係した皆さんも十分理解しているはず。



どこに転がっていくのかなぁ。
非常に興味深いプロジェクトです。
どんな形にせよ、上手くいってほしいですね。



by conte-sapporo | 2017-10-01 00:03 | BLOG

北海道の先鋭的ダンス(コンテンポラリーダンス/舞踏)の震源地!ダンサーや振付家の育成/作品制作支援/ダンスの環境整備などを行っています。


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